ファミリーホーム「クロップハウス」
虐待などの理由で親と一緒に暮らすことができない子どもたちを家庭的な環境の中で養育する「社会的養護」の場所(家)です。
2009年、国の制度としてファミリーホーム(小規模住居型児童養育事業)はスタートしました。家庭において適切な養育を受けることができない子どもを、18歳(措置延長で最大20歳)まで社会が公的な責任の下で育てる仕組みを「社会的養護」とよびます。「社会的養護」には児童養護施設や乳児院などで行う施設養護と、ファミリーホームや里親などの家庭養護があります。
わたしたちが運営するファミリーホーム「クロップハウス」は、さまざまな理由により保護された0歳〜18歳の子どもたちを受け入れています。深い心の傷を抱えた子どもたちを受け入れ、心のケアをしながら共に成長し、やがては子どもたちを社会に送りだすための自立を支援します。そして彼らが社会生活でうまくいかない時には、いつでも帰ることができる「家」でもあります。

ドルフィンプレイ御蔵島
児童養護施設で暮らす子どもたちを対象とした、伊豆七島にある東京都御蔵島での夏休みのプログラムです。
船内1泊、御蔵島3泊の4日間のスケジュールで、野生のイルカと泳ぐ「ドルフィンスイム」と芸術療法の一つである絵画療法「アートセラピー」を行います。
このプログラムは、施設に入所している中高生を対象にしています。18歳になると自立を余儀なくされる彼らに対して、日常から離れ自分の生い立ちや施設での生活を振り返る時間をつくることで、精神的な成長のサポートを行います。
大自然の中、野生のイルカと泳いだ時に感じる素直な感情を、自分や参加者全員と共有して認め合います。自分への自信と、仲間への信頼は、自分の力で人生を切り拓くための基礎的な力になると考えています。
子どものサポート事業
児童養護施設やファミリーホーム、自立援助ホームなどで生活している、またはそれらを退所した子どもたちを対象に、生活の立て直しや就労・進学を支援しています。
「社会的養護」の下にいる子どもたちは、中学高校卒業(中退含む)を機に施設を退所しなければなりません。そして、子どもたちは働いて自立することを求められます。保証人や相談できる大人の不在、虐待のトラウマや対人不安など多くの問題を抱えた状態のまま自立を余儀なくされるのです。信頼できる大人の支えがないまま10代のうちに自立するということは、時に大きな困難を伴います。
事例の一部を紹介します。
(事例1)Aさん 児童養護施設を退所後、社会で生きていくための基盤となる人間関係を再構築させることを目的に、就労と生活のサポートを御蔵島で行いました。6年間の御蔵島での生活を経て、現在は神奈川県内で生活しています。
(事例2)Bさん 短大進学のための入試準備、保育士資格取得のためのサポート、卒業後の進路相談を行いました。
(事例3)Cさん 児童養護施設を退所後、学校と仕事の両立がうまくいかず、再スタートのためにクロップハウス近隣にて住居と就労をサポートしました。
(事例4)Dさん 自立後にてんかん発作により失業。自立生活が難しくなり、再スタートまでの療養期間をサポートしました。
(事例5)Eさん ファミリーホーム退所後、福祉事業所などの支援機関との連携、連絡を行い、自立生活の見守りを行っています。